《MUMEI》
宝物の角笛
「開いてるよ」

あたし達がノックするより先に、中から声が聞こえてきた。

「咲月さん達だね」

「うん。ちょっと話があるんだけどいい?」

「いいよ。入って」

あたし達は扉を開けて中に入った。

「あれ‥何してるの?」

「これ、知ってるかい?」

「ううん」

「角笛だよ」

「角笛‥?」

「そう。これは僕の宝物‥」

「ねぇ」

「ん?」

「何で今日学校来なかったの‥?」

「ああ、その事か‥。実はね、少し考えてみようと思って」

「考える?」

「学校に行って、あの狼を見たら‥僕はきっと彼を追う事しか頭になくなってしまう──だから、少し距離を置いて考えてみようと思ったんだ」

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