貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》商品はダンベル?
さて、スイッチを入れたばかりの自動ドアから勢いよく走り込んで来たのが、ほぼ毎朝一番に来る、おっさん。年の頃五十くらい。
一体、お仕事は何をされているのか。
私の中では、おそらく夜勤の警備などをしているのだろうということになっている。
仕事帰りにDVDでも借りて帰るかってな具合なのだろう。……借りていくのはいつもアニメだが。
とにかく、そんなおっさんを眺めながら、「今日も一日が始まったなあ」などと思う私。
おっと、ボーっとしている場合ではない。外にある返却ボックス(またの名をおかえりボックス)を閉めなければ。
返却ボックスは、店が閉まっている深夜の時間帯にも返却できるように設置されている箱である。
私はテープとマジック、ハサミ、そして商品を入れる大きめな箱とボックスの鍵を持ち、外に出る。
まずは、これ以上ボックスに商品を入れられないように蓋をしなければ。
私はテープを投入口の大きさに合わせてハサミで切った。それを投入口に貼付ける。
その上から、マジックで『返却は店内へ…』という決まり文句を書き込む。
もっといいボックスだとちゃんと蓋もついているのだろうが、この店にそんな予算はない。
さて、次は中身を出さなければ。
私はボックスの後ろへ移動し、鍵を使ってボックスを開けた。
ズダダダダー!!
やかましい音を立ててナダレ発生…。
ボックスからCDやらDVDやらビデオやらがわらわらと流れ出てきた。
「今日は多いな」
独り言を呟きながら、せっせと散らばった商品を持ってきた箱に入れていく。
全ての商品を箱にいれたことを確認すると、再びボックスに鍵をかける。
そして、商品の入った箱を持ち上げようと力を入れる。ポキ。…………持ち上がらない。
気のせいか、腰から妙な音が。…運動不足か。
「はっ!!」
気合いと共にもう一度頑張る。
なんとか上がった。微妙な前屈みだが。
私はこの勢いに乗せて、妙なポーズのまま、小走りに店の中へ戻った。
CDもDVDもビデオも束になるとかなり重いのだ。結構大きなダンベル並です。
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