《MUMEI》 マーメイドの由来「あのさ、…その呼び方、止めてくれない?」 「ん?」 「だから…マーメイドっていうの」 「何で?! ぴったりじゃん!」 「嫌なの」 「え〜!」 (『え〜!』じゃない) いい大人が、すねるな。 「何? 痴話喧嘩?」 和馬が顔を出した。 「マーメイドちゃんが、マーメイドって呼ぶなって言うんだよ〜」 (ちょっと…店長でしょ?) 威厳の欠片もない俊彦の情けない口調に、私は呆れたが、和馬は慣れているようで、普通に会話を続けた。 「ていうか、何でマーメイド?」 (あ、馬鹿) 俊彦にその質問は禁句だ。 「説明しよう!」 (うわ〜、始まったよ) 俊彦の説明は、長い。 私は、頭を抱えた。 同じ変態の和馬は興味深そうに、その説明を聞いていたが… 私は、子供の頃から何十回も聞かされてきているので、うんざりしていた。 俊彦の話は まとめると 『人魚姫は、その声と引き換えに、魔女から足を与えられた。 蝶子の足は、何と引き換えにしてもいいくらい整っていて、美しい。 魔女と取引して、人魚姫が手に入れた足は、きっと蝶子のような足だ』 ということらしい。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |