《MUMEI》
千夏の勘
部屋に戻ると佐久間はいつものように私を求めてきた。


「今日はごめんね・・・」


そう言いながら私を裸にしていく。


私は裸にされ佐久間に体を委ねながらも千夏の言葉が耳から離れなかった。


『太一となら復活するのかなって・・・』






今思えば太一と付き合いだした最初のきっかけは千夏だった。




「愛加には太一が良いと思うの」


「何よ急に!?」


「だって付き合う男とは数ヶ月で別れるのに、太一とは三年も続いてる」


「それは友達だからよ!?」


「とっても仲の良い男友達でしょ?」


「何よその意味ありげな言い方」


「愛加が男と別れてすぐに立ち直れるのは太一が側にいるおかげよ。気づいてる?」


「別に太一がいるから立ち直ってるわけじゃないし・・・」


「分かってないわねぇ〜」


そんなことを千夏が繰り返し言い続け、私は太一の存在の大きさを意識し始めた。





あの時の千夏の勘は当たっていたんだと思う・・・。


私は初めて男性と一年も付き合うことができたし。


そしてまた千夏の言葉を思い出す。


『太一となら復活するのかなって・・・』


千夏の勘はまた当たるかしら・・・

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