《MUMEI》

それらの全てのものが、オレに突きささってくる。

韓流スターの事で母をからかったこともある。

静まりかえる部屋の中、見かけない紙袋を見つけた。

有名洋菓子店の紙袋。

その時点で、それが何であるかオレには理解出来た。

理解出来たからこそ、涙が溢れた。


涙は止まらない。

暖かさがつたわった。
母はいつも用意していた。
毎年毎年、やめろとオレは言った。
恥ずかしいだろと、オレは母に言っていた。
紙袋の中にはバレンタイン用のお菓子が入っていた。

いつ帰るか分からないオレに、いつも早目に用意していた。

涙は暖かく、心を癒した。

母はここにいたのだ。

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