《MUMEI》 目の前に映るのは、 痛々しい程変わらない、いつもの食卓。 テーブルの上には母が最後に作ったのであろう料理がいつもどうりに、ごく自然に置かれていた。 見慣れた食器と玉子と野菜の合わせモノ。 ガスコンロには味噌汁が鍋ごと置かれている。 オレはいつもの席に座り、ただ黙って料理を眺めていた。 廊下や2階からはバタバタと足音が聞こえる。 台所の、ここの空間だけが気持ちの悪い程に日常を彩っていた。 時計の秒針がまた1つ夜を刻み、テーブルの上にある新聞は、日付が1月27日で止まっていた。 何日でもいい、 何時間でもいいから、時間が戻ってくれればと繰り返していた。 前へ |次へ |
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