《MUMEI》 真実「ただいま。有理ー?」 返事がない。家全体が暗く、気配もない。 「有理?いないのか?」 ――病院に連れていこうと思ったのに。 「有理?」 有理の部屋を覗いた。 「有理!?」 ベッドから落ちたらしく、うつ伏せで倒れていた。流理は慌てて抱き起こす。 「有理っ!有理!?」 *** 「……ご家族の方ですか?」 病室で流理は有理の寝顔を見つめていた。 「ハイ……そうです。双子の兄です。あの…有理は何か病気……なんですか?」 「やはり何もお話しされてないのですね…」 少し年配の医者は深くため息をついた。どうやら今までも有理を持て余していたらしい。 有理のオレ様ぶりはこんなところでも発揮されていた。 「弟さんはもうすぐ……歩けなくなります」 目の前が真っ暗になった。 前へ |次へ |
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