《MUMEI》

廊下からは依然、バタバタと足音が聞こえてくる。

科学捜査は難航していた。

指紋も血液の反応もまるで出ないと言っていた。

捜査官の1人がオレに言ったのを覚えている。

「こんなにきれいな家は、ほとんどない。」

オレはそうだな、と感じていた。

母は掃除が得意だった。

母とほうきの組み合わせは、オレも兄にも、思い出の1つだ。

けして潔癖症ではないけれど、自分の住む家が汚いのはイヤだと、母はよく言っていたものだ。

その姿を思い出し、オレは少し笑んだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫