《MUMEI》

その後、完全に寒さが渦巻く部屋という部屋、庭と駐車場を捜査しこの日の立ち会いは終了した。


終了際、1人の捜査官が挨拶にきた。

「心中辛いなか、ご協力有り難うございました。」

オレと同年代ぐらいの捜査官は頭を下げると、他の捜査官が待つ車に乗り込んだ。

オレは彼の言葉に、随分救われた。

引き裂かれ、形のない心に温かみを感じた。
そして、数台の車がエンジン音と共に消えていく。

容赦なく冬の寒さが包む。

街灯が薄暗く家を照らしていた。

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