《MUMEI》

鍍蓑の頭の中では、慧漣の声が聞こえていた。


「「鍍蓑、勝手に戻るな。」」


「だって僕も自己紹介しないと。」


鍍蓑は慧漣が開けたYシャツのボタンを閉めながら声に出して言った。


「皆さん初めまして、津田鍍蓑です。」


「あっ、津田さん先ほどはすみませんでした。」


塁羅は頭を深く下げて謝罪した。


「あっ良いんですよ。僕の方が悪かったんだし…。」


鍍蓑の目には涙が浮かんでいた。

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