《MUMEI》 「ふーん」 特に気にする様子もなく、適当に返事をされる。 ・・・この人、教師としてどうなんだろう。 あまり他人に期待しないタイプの私ですら、疑心暗鬼になりそうだ。 廊下の終点に3ーDと札がかかった、ドアを見つけた。「ここ。」 ぶっきらぼうに言う。 見下ろされ、初めて目があった。 少し小さい方の私から比べて、先生はとても背が高く見えた。良く見ると男の人のわりに、綺麗な顔をしているなと思う。 先生は勢いよくドアをスライドした。 「あ、名波先生。」 甘い感じの声がする。誰かいるのだろう。 「松島・・・。今日は登校日じゃねーよ?」 「分かってますよー。」 確かに中3のこんな時期に学校に来るなんて、登校日ぐらいしかないだろうけれど。 ・・・松島? 私は先生の後ろから、教室にいる女子生徒を見るため、ひょっこり顔を出した。 「百花?」 「奏!」 彼女は走り寄ってきて、私の両手を掴んだ。 『2年ぶりー!』 ふたり揃って声をあげる。 「なんだか百花大人っぽくなったね。」 久しぶりに会う友達の姿をまじまじと見て、心からそう思った。 「奏は・・・変わらないね・・・。」 前へ |次へ |
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