《MUMEI》 「おまえみたいに、こんな時期に転校してくるなんて、普通考えられないだろ?いじめ、不登校、妊娠・・・そう噂されるくらいなら、本当のことを知られた方がいい。」 「でも親の会社が倒産したとか、離婚したとか・・・あんまり知られたくない。・・・です。」 思わず熱くなってしまう。先生の言うことがわからなくはないけれど・・・ 先生は立ち上がり、私たちの方に近付いた。向かい合っている私たちの頭を押さえ、ドアの方に向かう。 「でも、おまえたちのせいじゃないから。親の会社の倒産も、親の離婚も。」 そう言って教室を去った。 「何?あの先生。」 不信感いっぱいで、百花に尋ねる。 「名波樹って言うんだよ。うちのクラスの担任。」 去った先生の残像を目で追う百花の顔は、恋をしているようだった。 前へ |次へ |
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