《MUMEI》

「好きなの?」


百花は首を振った。
「尊敬はしてる・・・。」
顔が男前だから、好きなの。と言われる方がよほど納得がいく。尊敬というのは、人との関係で最上級の想いだから。

私が渋い顔をしていると、百花は綻ぶように笑い、あの先生を尊敬している理由を教えてくれた。


百花は女子校育ちだったから、なかなか男子と打ち解けられず、話しかけるときも、かけられるときも、すぐ俯き、赤面するくせがあったそうだ。
勘違いして、自分を好きだと思い込む男子も多く、女子からも評判が良くなかったらしい・・・。

ある時、クラスメイトの女子と付き合っている先輩に、告白されてしまい、その現場を彼女に見られてしまったそうだ。
すぐに断れずに下を向いていると、彼女は勘違いし、クラスの女子のほとんどから、仲間外れにされてしまった。

一人で理科室へ移動している姿を、名波先生に発見され、声をかけられたという。
どうしてそのような状況になったのか聞かれた。

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