《MUMEI》





「秀幸寝坊しすぎだよ?ちゃんと朝は起きてご飯たべなきゃ、ね?」





「…誰のせいで…」

「はあ?ビールの量変わんなかったじゃん」




自分が100%正しいみてーな表情の裕斗。

いっちょまえにさっきから上から目線な発言連発。



ま〜先に起きてくれて飯の用意までしてくれちゃ〜夜中の暴れっぷりはチャラにするしかなさそうだ。





「あ〜、この玉子焼き美味いなあ〜、甘しょっぱい玉子焼きに大根おろしって最高の組み合わせですな〜、俺も焼く時は真似してみっかな!」




「でしょ〜!大根おろしに玉子焼き浸して食べるのも惇がやっててさー、良かったからぱくっちゃった!」




やたら自信たっぷりのゆうちゃん。
ちょっとコゲ臭いのと甘すぎるのが大根おろしで緩和されて



…まあなんとか食える状態。




あ〜でも味噌汁はなかなか!




「胃にしみるな〜!飲んだ次の日はやっぱ味噌汁だよな〜!」



「ご飯もい〜っぱい炊いたからね!おかわりしてね!」



どんだけかきまわすんじゃい?って聞きたいくらい納豆練りまくりのアホに恐怖を感じつつ聞く。




「…何合炊いた」




「ん?5合だけど?」



「…ちなみにゆうちゃんのおかわりのご予定は…」


「アハハハハ!ある訳ないじゃん!
だって昨日結構飲んじゃったから胃疲れてるもん!するか!秀幸じゃあるまいし!」

「こ、こらあ!アハハハじゃね〜よ、俺は…クソ〜〜テメーも胃ぶっこわれる勢いでおかわりしろ!今日から俺は泊まりなんだからな!」

「フフフッもー!ムキになんないでよー!
冷凍ご飯ストックしてあげようと思って余計に炊いたんだってばー!」

「え?…ストック?」


ゆうちゃん優しそうに微笑みながら腕を伸ばし俺の髪を撫でてくる。


ああ、そうか!


俺の為に!


夜作るの面倒で年中ビールで済ませる俺の為に!!


ああ、大好きだ、愛してる、嫁に来ないか!



「最近飲んだ後〆に茶漬け食いたくなっちゃってさ〜、
あ、地方ロケの土産ふくやの明太子にしてね、羽田空港で売ってるからさー、買ってきてね!それとどっ辛にして、あ〜!ふくやの明太子で茶漬けは最高だよ〜!楽しみだなあ」


「お前!!」



「一緒に食べようね」


ニッコリ極上のスマイル投下。


「…はい、了解っす…」






――はー…勝てない…


もしかして俺ってば



すっかり尻に敷かれてる?

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