《MUMEI》

「とにかく皆の前で、ちゃんと本当のことを言え。恥ずかしがらずに、包み隠さずに。」
先生がくれたアドバイスだった。

百花は素直に受け入れ、ホームルームの時き、自分が男子慣れしていないことを、クラス全員の前で話した。それからは、クラスメイトも理解してくれて、打ち解けられるようになったそうだ。

「名波先生はいつも本当のことを言えって言うの。」
確かに、さっきもそんな風に言ってたけれど・・・

「だから本当のこというと・・・私、先生に振られてるんだ。」
「え?告白したの?」
中学生なんて、子供だから相手にされるわけないのに・・・。正直、驚いた。百花にそんな行動力があるとは。

「あ、違うよ。絶対に離れられない女がいるって話しを聞いただけだから。」
悲しい笑顔で俯く。

「・・・。」
生徒にそこまで話すなんて、よほど変わった人だ。

それが私が抱いた先生への第一印象だった。

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