《MUMEI》
割りきった関係
佐久間が不意に声をかけてくる。


「今日どうしたの?なんか反応が悪かった…」


「そう?」


さすがにSEXの最中に考え事をしていたなんて言えない。


「良くなかった?」


「良かったよ」


「俺も!」


佐久間は嬉しそうに布団を被った。


「ねぇ、佐久間さんは彼女とかいないの?」


「今さら何聞くんだよ!いたら愛加ちゃんとこんな風に会ったりしないよ」


「じゃぁ出来たら私と会わなくなるの?」


佐久間は少し黙ってから


「きっと会う!」


急に笑顔になって自信満々に言った。


佐久間と私の体の相性は抜群だった。
だから佐久間は彼女が出来ても私と会うと言ったのだろう。


「そんなこと言ってたら彼女なんて出来ないわよ」


「俺は愛加ちゃんがいれば彼女とかいらないの」


佐久間はいつもこんな感じで調子がいい。


「変な人。割りきった関係が良いだなんて…」


意地悪く、敢えて『割りきった関係』と言った。
しかし佐久間は気づいてないのか、


「俺は愛加ちゃんとの今の関係が一番いいよ」


そう言って私にキスをした。

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