《MUMEI》

「……なんか着なよ。」

七生の瞳の微光が揺れ動ききょどっていることが分かる。

「七生こそ。暑いなら脱げば?」

腹筋に腿を付ける。
熱を溜めていて触れたところは汗ばんでいる。

「……セックス怖いくせして……」

七生の声は寝起きで掠れ、俺が影になって表情が読み取れない。

「怖いけど、七生にちゃんと抱いて欲しいよ?」

七生が言ってくれる数え切れない好きの分、返したいと思っている。

「何言って……」

人差し指を唇に乗せて遮る。

「……七生、抱いて?」

辛かったらもっと甘えてくれていい。
七生の傷が癒えればいい。
俺にはこんな事しか出来ないから。


「……どうかしてる。」

七生は薄目で俺を見た。

「どうもこうもフツーの恋人同士じゃない。ずっと、欲しがってた。
触ってみなよ好きな場所…………」

片手を胸部に導く。

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