《MUMEI》 それにしても、ただ靴を履かせてもらうという動作がやけに恥ずかしいのは、やはり雅彦が男性だからだろうか。 …何だか会話の内容が、妖しかったような気がする。 「蝶子ちゃん?」 (わ!) 気が付くと、雅彦が立ち上がって私の顔を覗き込んでいた。 「な、何?」 私が変に慌てたので、雅彦は不思議そうな顔をした。 「履き心地、どう?」 「あ、そうね」 私は立ち上がり、感触を確かめた。 その場で、足踏みもしてみる。 防水タイプも、履いてみると、意外と軽かった。 「うん、いい感じ」 「良かった。じゃ、履き替えしようか」 そして、私はまた雅彦に、履き替えをしてもらった。 「じゃ、後は、会計だけだけど… 蝶子ちゃん、時間まだある?」 「後三十分位は大丈夫」 私は『クローバー』の開店時間に帰ってくるようにと、咲子さんに言われていた。 「良かった。ここでは、靴選んだ後、お客様にケーキと飲み物を出すんだよ。 と言っても、蝶子ちゃんが持ってきてくれたケーキだけど…いい?」 「いいよ」 「飲み物、コーヒーと紅茶どっち?」 「コーヒー、ホットで」 「了解」 前へ |次へ |
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