《MUMEI》

カラカラン―――……。


その時グラスの中で氷が揺れた…


「……彼女との結婚は僕の人生に於いて、唯一最大の汚点さ………。」


僕は溜め息混じりに吐露した。


「――…………。

…なら…なぜ結婚したの…?」


カオリちゃんは眉をひそめて僕に問いかけた。


「…フッ……聞きたいかい…?」


「えぇ………」


「―――…あれは…

…5年前の出来事だったなぁ…


当時、僕は大学を出たばかりで、実家のある世田谷から少し離れた街で一人暮らしをしていたんだ。


ある日、久しぶりに実家に顔を出したとき―――……。



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