《MUMEI》

「う…………」

下に七生、上に乙矢に挟まれた。
雪が手についてひんやりする。

「皆生きてるかー?
点呼するよ、いーち!」

二人に呼び掛ける。

「にー」

下から七生の声。

「さーん」

上から乙矢の声がする。

「乙矢どけてぇ……」

乙矢は俺より背が高く重たい。
しかも七生の筋肉はベッドには不向きだ。

「はいはいはい」

笑いながら乙矢は退けてくれたが両足を持ち上げられた。

七生も俺の両腕をしかと拘束する。

俺を拘束した二人は塀に寄っていく。
七生ソファは坐り心地最悪だ。

「二人共酒クセーよ!」

身動き取れない。

「往生際が悪い二郎をなんとか唏かしてやりたいもんだよ。」

両足を乙矢に脇で固められた。

「オメーには無理無理!
俺にはしょっちゅう聞かせてくれるけどなっ。」

七生も両腕押さえながら変なこと言うし。

「じゃ、今から唏かす」

「二郎を知ってる俺のが早く唏かせられるから!」

訳の分からんやる気を出された。

「競うな阿呆二人組!」

「二郎。 はい、ちゅー」

たまに乙矢はぞっとする程の色気を出すが、それはたまたま今日だったようだ。

キスするために眼鏡を外す仕草がなんだか変な気にさせる。

「そんなのより二郎は首がイイんだよ、な?」

七生の絶妙な間の言い回しや首をなぞる舌先に感覚を鋭敏にさせられた。


「…………は なん、れ  いぢわる……」

こんなとこで恥ずかしいことするだんて二人共酷い。



「「可愛いコ程虐めたくなるから」」

そこで息ぴったりかよ……

「チッ、感じたのも同時か」

不満げに七生が舌打ちした。

「二郎、感じたらすぐ悦かった方の名前言いなよ?」

乙矢から不条理な条件を出された。

何か恨まれるような事をしたのだろうか?
下は七生、上は乙矢が俺を翻弄する。

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