《MUMEI》
「ゴメンな、疲れてんのにこんな夜中に呼び出して」
肩に腕を回され唇が重なる。
――久し振りのキス…、俺も腕を隆志の首に絡め深く甘い時間を刻む。
「ほっとする…」
俺は隆志の胸に蹲ったままきつく抱きしめてもらう。
本当マジで久し振りだから…なんか泣けてくるよ。
「見せたいものがあってさ、おいで」
言われるがままベランダに出ると
「スゲー!綺麗!!」
「だろ?これでここに決めたんぜ?」
何となく想像はついてたけど、でもそれ以上だ。
夜景が凄い、さすが高層マンション!!
暫く頭空っぽのまま夜景に見とれていると、すっと俺の後ろに隆志が立った。
ベランダに掴まる俺の両手の脇を隆志の大きな手が同じく掴まり、そして僅かに温もりを感じる。
後ろに躰を預けると片腕が俺の胸に回ってきた。
「今日…良いよ、抱いても…」
「無理しなくても良いよ、したくて付き合ってる訳じゃない」
そう、俺達はあれからずっとしてないんだ。
隆志は俺のマンションに何回も来たけどキス以外何もしてこなかった。
俺も正直怖くて始めの内は気にしない事にしてたけど、やっぱりこのままじゃ不自然かなって。
どんなに忙しくても隆志は毎日電話してくれるし、病院の日は車で送ってくれたり、時間ある時は付き添ってくれた。
もう怖がる理由は一切ない。
パニックの発作も最近全くないし…
「俺はしたいんだけど、抱いてくれないの?イヤ?」
俺は振り返り笑顔で隆志を見上げる。
隆志はびっくりした表情で俺を黙ったまま見下ろしている。
俺は隆志の肩に両手を乗せ瞼を閉じ、踵を上げた。
「これ以上恥かかせないでよ」
「…はい」
めっちゃ最高な夜景をバックにキス。
軽々とお姫様抱っこされまた夜景を見る。
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