《MUMEI》 *迷惑*「‥!?」 紫堂を追い屋敷へ戻った瑠果は、食堂の奥にある調理場を覗いて絶句した。 だが、しばらくしてようやく声を絞り出した。 「な‥何をしているのだ紫堂!?」 「ご覧の通りです。性能を確認しておこうと思いまして」 「何ゆえ鍋をカチ鳴らす?‥そして何ゆえコンロに炎を」 「ちゃんと機能しているようですね」 「あ、当たり前だっ。私は毎日ここで料理をしてきたのだから」 「お嬢様がお料理をされてたのですか?」 「そうだが」 瑠果が膨れっ面をして答えると、紫堂は言った。 「では、今日からは僕がお嬢様にお料理をお作りしましょう」 「な‥お前に世話などしてもらうなどまっぴらごめんだッ」 「ご遠慮はいりませんよ、お嬢様」 その言葉と共に見せた涼やかな紫堂の笑みに、瑠果が身震いしたのは言うまでもない。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |