《MUMEI》 出会い「・・・・・あれ?」 周囲を見渡す。 「やれやれ・・斎また迷子になったのか。」 相方の斎の姿が無い。 ココは何処だろうか・・ 「・・・結論、目的地は「守護騎士団の詰め所」な訳だからソコに行けば問題ないよな。」 我ながらナイス判断。 さて、当面の問題は・・この溝に落した財布だ。 腕を押し込むには狭い。 指だけで届くような距離でもない。 「・・・消し飛ばすか。」 溝を強引に魔法で広げて・・ 「財布も消し飛ぶよなぁ・・」 参った。 「うむむむむむ・・」 駄目元でやってみるか。 魔力を腕に籠めて・・ 「アンタ、さっきから何してんの?」 今はソレ所じゃ無い。 「・・・もしも〜し?」 あ〜なんだよ・・ 財布が取れるか取れないかの瀬戸際なんだよ。黙ってろよ・・このバカ女・・ 「無視するな!!」 ゴス・・ 蹴り飛ばされた。 「何をする!!」 振り返って声の主を睨む。 いや、本来なら「どうかしましたか?」と尋ねるんだが・・ってソレ所じゃ無い財布!! 「ふ〜ん・・この財布を拾うために悩んでたのね。」 ご名答、中々鋭い観察力だ。解ったならとっとと立ち去れ。 ん?何を・・ 「ってそれは私の財布だ。」 溝にナイフを突っ込んで盗る気か!! 「貴様・・敵だ!!」 「何わけの解らないこと言ってるんだか・・ほら。」 む・・私の財布を投げて渡してくれた。 良いヒトだ。 バカの斎と違って。 「助かりました。」 「感謝される程のことじゃ無いよ。」 「いや、お金は大事です。是非ともお礼を。」 いや、この気品溢れる女性は本当に良いヒトだ。 前へ |次へ |
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