《MUMEI》
*紅茶*
「さて‥では紅茶でもいかがですか」

「いらん。第一、紅茶など滅多に──」

戸棚にしまおうと思いポットの持ち手を掴もうとした瑠果の手を、制するように紫堂がそっと握った。

「!?‥はっ、放せッ」

慌ててその手を振りほどいた瑠果は、紫堂を見上げたまましばらく沈黙した。

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