《MUMEI》
医術士と精霊
って待て。
「その手の中にある一万E(エーテ)札は・・」
「ん、拾ってあげたんだから当然の謝礼でしょ。」
前言撤回。やっぱり敵だ。
「この年増め・・即刻返さねばその首跳ね飛ばすぞ!!」
「は?」
よし、警告はしたボコボコに・・
ドガス!!ボゴ!!
「最近耳の調子がおかしいのかしら、とんでもない暴言を聞いてしまった気がするのだけど・・もう一度言ってくださる、お兄さん?」
笑顔が怖いですよ、お嬢さん。
「いえ・・お美しい女性だと、独り言が・・」
「そう、やっぱり気のせいだったのね。」
鳩尾に一発、流れるような連携で顎にも一発・・
強い・・だが、お金は取り戻さねば!!
「あの・・お礼と言いましても、一万Eも渡してしまうと・・今後の予定に支障があってですね・・」
ココは穏便に・・
「む・・仕方ないわね。じゃあ少し荷物持ちをやってもらえないかしら?」
「はい、それでよければ。」
く・・背に腹は変えられぬ。
数十分後・・
「か弱い女性を助けるのは当たり前よね〜」
何処の、誰が、か弱いって?
「ははは・・モチロンデス。」
すでに両腕には50キロ近い荷物。
「そういえば名前、聞いてなかったわね。」
「ただの通りすがりの精霊です。」
「名前は?」
聞いちゃいねぇ・・
「高雅(コウガ)です。」
「私はキティホーク。医術士よ。」
買い物は終わりなのか・・病院の中に入っていく。
「俺、思いっきり部外者ですよ?」
「あ〜気にしないで。」
スタスタと歩いていくキティホークに続いて歩く。
なんだか良く解らないが・・とりあえず続いて「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた部屋に入っていく。
「荷物その辺に置いといて。助かったわ〜ありがと!」
部屋に荷物を置いていく。
恐らく、キティホークの私室だろう。以外に片付いているのが驚きだが・・
まぁ、関係ないか。二度と会わないだろうし。
「それでは、私はこれで失礼させていただきます。」
「高雅って言ったわね、これから何処行くの?」
部屋を出ようとした私に声をかけてくる。
ふむ・・答えておこう。殴られたら嫌だからな。
「守護騎士団の詰め所へ行く予定ですが?」
「私も用事が有るんだけど・・良かったら案内するわよ?」
「・・・・正直、ありがたい。だが、また謝礼を取られては・・」
「取らないわよ、それと・・そう言うことは口に出さないように。」
どうやら口に出していたらしい。
「で、どうするの?」
「ご一緒させていただきます。」
無償ならば喜んでご同行させてもらおう。
二人は病院を後にする。

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