《MUMEI》

「二郎、肌綺麗だよな」

乙矢が手袋を取り、服の下から手を突っ込んでくる。

「やだって……」

言ってるのに、七生は俺が苦手な首を吸い続けているし。

「……じろー腹冷えない?」

ひた、と七生が両手を置いてきた。思いの外肌が水を吸うようにくっついて驚かされた。

「 ひ、 」

七生の指がひとつ、臍を引っ掛けた。

「あ 今、絶対キた。俺の勝ちかもー…………」

七生が変なこと言うのを止めさせるスィッチとかはないのか?

「名前呼ばれてないからまだ勝負は着いてない。」

乙矢の唇がするすると鎖骨から下りてきた。
指の腹が鳥肌をなだらかにする。

「待って……」

そこは多分、乳首だ……。
「待ちません」

乙矢は実に楽しそうに指を密着させた。
採られるのに似た、感覚。

「 ――――ッハ 」

乙矢、意地悪い……!

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