《MUMEI》

転入してから、一週間。
特に悪い噂もいたずらなく、平和に過ごしていた。

二日前のホームルームで、文化祭実行委員の選出が行われ、見事に選ばれてしまった。というよりかは、名波先生に勝手に決められたと言った方が正解だ。

理由は、少しでもこの学校での思い出ができるように・・・らしい。

「奏、放課後初の実行委員会だよね?」
百花に聞かれ、私は少し渋い顔で頷いた。

まだまだ残暑がのこるグランドでの体育が終わり、更衣室に戻っていた。6限目の授業だったせいか、みんな、ダラダラしている。

「暑くて着替えたくないよー。」
光はウチワで扇いでいて、なかなか、着替えようとしない。
「ホームルームの始まりが遅くなると、名波先生が怒るよ。今日委員会だし。」クラスメイトが光に向かって言い放つ。

先生は生徒会の顧問をしているらしく、今回の文化祭も仕切っている。私はこき使われるために、実行委員に推薦された気がしていた。
「あれ?」


「ど、どうしたの奏?」

着替えようと、ロッカーを開けると、制服が消えていた・・・。

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