《MUMEI》
突然の訪問者
「ギャーーーーーーッ!
おかあさん!?!?!」


なぜか母親が目の前に立っている。


「愛加、あんた裸で何してんねん!!しかもこの方はどちらさん???」


母親は薄着の佐久間を頭から爪先まで舐めるように睨み付ける。


「愛加さんとお付き合いさせて頂いている佐久間謙二と申します!」


佐久間は私が母に本当のことは言えないだろうと、咄嗟に嘘をついてくれた。


「交際を認めてください!お願いしますっ!!!」


しかも土下座をする演技までして…


「ふ〜ん、愛加の彼氏ですか…。まぁ、脚を楽にして三人で話しましょか?その前に二人とも服をきちんと着てな」


私は急いで服を着て三人分のコーヒーを入れる。


「佐久間さんはお仕事、何してはるんですか?」


私がコーヒーを入れる間、母は佐久間に探りを入れ始める。


「あ、はい。国交省からの注文で橋とかトンネルなどの設計をしてます」


母の質問に佐久間は律儀に答える。


「見た目と違って、わりと堅そな仕事なんですね」


母はさりげなく嫌味を言う。


「二人はいつ頃から付き合うてるの?」


「はい。約半年ほど前からです」


私たちは出会ってから2ヶ月くらいなのに、佐久間は適当に嘘をつく。


「あ…じゃ、もしかして、あの時に愛加が電話で…」

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