《MUMEI》 先生はおもむろに、着ている白衣を脱ぎだした。 「え?」 まさか白衣を貸してくれるというのだろうか? 私の目の前に差し出す。 さっきまで、理科室で使っていたであろう、薬品のニオイがした。 私はさすがに、先生の白衣は着られないと思い、躊躇する。間違えなく、引きずって歩くことになりそうだから。 「あ、違う。違う。それは、ちょい持ってて。」 そして、白衣の中に着ていた薄手のウインドブレーカーを、渡された。 「いいんですか?」 先生の温度が完全に残ったままだった。 「これから会議があるのに、そのままじゃ、恥ずかしいだろ。」 「・・・。」 私は抵抗せずに、先生の上着を羽織った。それでもやっぱり大きくて、太もものあたりまである。 「すいません。ありがとうございます。」 先生はその様子をまじまじと見ている。 何か言いたげだ。 「あの?」 「逆に・・・エロいな。」 全身の血液が沸騰したかと思うほど、体温が上昇した。普通、生徒にそんなこと言う? 穴があったら入りたかった。 前へ |次へ |
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