《MUMEI》
生粋の京都人
「違うっ!!!」


母が言わんとすることに気付いた私は焦って遮った。


「え?ちゃうの?あ、それは失礼しました…ホホホホ」


佐久間はポカーンとした顔をしている。


「それよりお母さん!急に連絡もせんと来るなんて、どういうこと!?」


私が母に言うと、佐久間がまた驚く。


「え?関西弁??」


「佐久間さん、何を驚いてはるんですか?まさか知らずに付き合うてるんちゃいますよね?愛加は生粋の京都人でっせ!」


母はまた佐久間に小さな攻撃をする。


「どうでもええやん、そんなこと!それより何しに来てん!?」


私は気が動転して、とにかく口調がきつかった。


「恐いわぁ〜。久々に母親が会いに来たゆうのに…」


ねぇ〜、と佐久間に相槌を求めようとするのが、また腹が立った。


「お父さんは知ってんの?まさか黙って来たんちゃうやろなぁー!!」


「もう落ち着いてぇなぁ。ちゃんと説明するから。そんなカッカされたら、何にも言えへん」


そう言いながら母はバッグの中から扇子を取りだし仰いだ。

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