《MUMEI》
*返事*
「紫堂お前‥何ゆえ‥」

「ご主人様から聞いていましたので」

「な‥」

だが目の前に差し出されてしまっては、引き下がる訳にもいかないのである。

瑠果は食事の皿を平らげると、小さなスプーンでアイスクリームをつつき始めた。

(おのれ紫堂め‥)

瑠果はアイスクリームに突き刺さったウェハースを抜き取り、口に放り込む。

「お気に召しましたか」

「‥‥‥‥‥‥‥ああ」

返事などするものか。

そう堅く決心したにも関わらず、瑠果は無意識に、そう答えてしまった。

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