《MUMEI》 オーラ「なんか谷口くん元気なくない?」 「あ、それ私も思ってた」 「何かあったのかなぁ」 「伊久子、聞いてきてよ」 「ちょ……なんであたしなのよ」 「だってアンタ仲良いじゃない。私達まだそこまで仲良くないし…」 「お願い!」 女子全員に頼まれて、断われなかった。 伊久子自身も気になっていたし、それにもっと流理のことをもっと知りたかった。 それにしても、流理の元気の無さは凄まじかった。 まわりまでを暗くさせるような暗さで、誰にも近付けなかった。 だけど。 「谷口!なーによ、そのオーラ!!うっとおしいのよ!」 「永井さん……。ゴメン、そんなテンションじゃないんだ。静かにそっとしておいて欲しい」 「ちょっと……何よそれ。何かあったの?」 流理は弱々しく微笑んでみせた。 「ちょっと家庭の事情でね。疲れてるんだ」 「最近休みが多いのも、そのせい?」 「あ――…うん。近いかな」 ――あたしには何もできないのかな。谷口のことは何も知らない。だからこそ何でも話して欲しいって思う。 あたしは谷口の『特別』にはなれないのかな? ねぇ谷口、あたしじゃダメなの? 前へ |次へ |
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