《MUMEI》
傷を舐めあう二人
「それからの僕は、何かに憑かれたように仕事に没頭したのさ…。

花沢さんや姉さんを見返したい一心で――……。

でも、そのお陰で今日の僕の成功があるんだからなぁ……

――…人生ってのも皮肉なものさ……フフッ…。」


僕はスコッチを煽った。


「そういえば………花沢さんて、昔から男の人に対する嗅覚が鋭かったわね……。

成功しそうな男性を見分ける能力っていうのかしら…?」


「…フッ……まったくだ…

僕は、まんまと彼女の手の平で踊らされていたのかもしれないね………。」


僕はシガーの煙とともに吐き捨てた。

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