《MUMEI》

ミュートの効いたトランペットの音色が、大人の夜を演出する………。


苦い思い出もすべて琥珀色したグラスに沁み入るように………。


僕はそれを口に含んでは少しずつ呑み干してゆく………。


「それにしても磯野くんの会社すごいわね…

今週のAERAの表紙を飾ってたの、アレ磯野くんでしょ?

今でも信じられないわ………あの磯野くんが有名なIT企業の社長だなんて……」


カオリちゃんは、辛辣な話題をさりげなく切り換えてくれた。


そんな彼女の優しさは、僕の心のオアシスだ。

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