《MUMEI》

夕方から入って、酔っ払いどもがようやく帰宅する深夜以上早朝未満のこの時間帯までぶっとおしで働けば、そうなるのも当たり前だ。特に今日は大学生のコンパだのリーマンの昇進祝いの宴会だの、大きな予約がいくつかあって、正直店内は戦争状態だった。

「まー忙しかったよな」

「これで今明細見せられたら泣いてしまうかんね。あ、俺にも煙草ちょーだい」

パイプ椅子を引き寄せて座ると、地べたから伸びてくるなまっちろい手がラキストの箱を奪っていく。ついでにライターも投げてやると、ありがと、と気のない返事が返ってきた。

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