《MUMEI》

「今何時・・・・うげー。4時半て」

白い筒を咥えて小さな火を灯しながら時計を見上げる男が顔をしかめる。

「何でバイトなのに残業なんだよ。もーやだー」

ハタチそこそこの男らしからぬむくれように俺は小さく苦笑する。

「なに、今日大学?」

「のつもり、だったけど。もー行きたくねぇわ」

薄い唇に咥える煙草ときれいに整えられた眉が同じように下がっていた。
あぁ、疲れた。
パイプ椅子を軋ませて脱力する、吐き出す煙が弱弱しくまわる換気扇に吸い込まれては消える。俺も今日は午後から大学だ。今から帰って風呂入って寝て、あぁ、その前にレポートあるわ。あー。

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