《MUMEI》

「そうだったのか……。

アイツ………先日電話したときには、そんなこと一言も言ってなかったのに…。」


「………。」


薄暗い店内に流れる、物哀しいジャズバラードの旋律とともに、二人の間に重苦しい沈黙が流れた…。


「ごめんなさいね………彼は磯野くんの親友なのに………」


「いや……。」


言葉が続かなかった――……。


僕がその親友を裏切って密会を重ねている有り様に、妙な滑稽さを感じたからだ。


言葉が見つからないまま、スコッチグラスの中身だけが悪戯に減っていった…。

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