《MUMEI》

コトッ…「お待たせしました…」


彼女の手元に4杯目のソルクバーノが運ばれてきた。


しなやかな左手が、そのグラスに伸びる…。


僕は本来その薬指にあるはずのマリッジリングが外されていることに気付いた。


「カオリちゃん……

もしかして、結婚してからも君が働き続けている理由というのも、それなのかい?」


『それ』とは中島との性格の不一致を指している。


キャリア官僚である中島の収入があれば、彼女だって専業主婦でも十分やっていけるはずだ。


僕は、失礼と知りつつ、どうしても聞いてみたくなった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫