《MUMEI》
分かり合えた友情。
私はコウタが買ってきてくれるご当地キティストラップをいつも楽しみにしてたんだ…。




『…瑠伊。まだヨウスケが好きなんだろ?ずっとお前を見てきたから分かる。…でももし、今の言葉が本当なら…少しでも俺の事を大切だと思ってるなら、付き合ってくれないか?』




コウタの優しい声に涙が止まらなかった…。




『…コウタ。私、コウタに話してないことがたくさんあるの…。私はズルい女なんだよ…。』




『それでもいいよ。』




コウタは優しく私を抱き締めた…。




それから手を繋いで歩きだす。




沈黙のまま歩き続けるコウタに私は付いていくことしか出来なかった…。




私のマンションの前に着くとゆっくりと手を離した…。




『今日はもう遅いから…話はまた今度なっ。…おやすみ。』




そう言って帰ろうとするコウタを引き止めた。




『待って!コウタには全部聞いてほしいの。本当の私を知ってほしい。』




驚いた顔のコウタを引っ張り家の中に入れた…。




私は泣きながらすべてを話した…。




『私は、まだヨウスケが好き…
でも最近は憐っていう人が気になりだしてた。
新しい恋が出来ると思ってたの。
それから…コウタの気持ちにも気付いてて、わざと知らないふりを続けてきた…。
今日はチカさんにコウタがヨウスケと連絡とってるって聞いて確かめに来たんだ。
自分のことしか考えてなかったの…。本当にゴメン。
私の本心が分かって嫌いになった?
自分勝手だってことは分かってる。
でも、このままコウタを失いたくないの。』




これが私のすべてだった。



急いで話したせいか、少し酸欠気味だったけど、すべてをさらけだした私はとてもスッキリした…。




『はははははっ』




コウタはなぜかお腹を抱えて笑っている。




『お前、ちょっと落ち着けよ。何が言いたいのか全然わかんねぇ。』




コウタの反応には驚いたけど、クシャっと笑った顔を見て、私はホッとした。



『ちょっとコウタ笑いすぎ。私、今、かなりの勇気だして話たんだからねぇ。』



『…おう。わかってる。かなり必死さが伝わった。』



そう言いながらもコウタは涙を流して笑ってた。




『あ゛〜ぁ゛。』




突然、コウタが大きなため息をつく。




『よしっ。俺、お前を諦めた。マジで諦めた。』




『…諦めたって?』




私は、素で聞き返した。




『だ〜か〜らぁ!俺はもう瑠伊を好きじゃないってこと。これからは友達だ。…って今までもか?俺、情っけねぇ〜』




そう言いながらもコウタはまだ涙を拭いていた。




『…コウタありがと。』




『おっ。お前が俺のことも大切に思ってくれてるって分かっただけで、満足だ。でも…感謝してるんなら失恋記念にチューでもしようか?』




『絶対しない。』




はははははっ…
いつもみたいに私達は笑いあってた。




一息つくと



『じゃ〜。そろそろ本題に入りますか?』




コウタはあぐらをかいていた足をなおし、正座に座りなおした。




『瑠伊。次は俺の番だ。俺が知ってること全て話す。俺もお前に黙ってたんだ。…ヨウスケのこと。』

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