《MUMEI》 まず、男性陣が四人がけのテーブル五つを一列に並べる。 女性陣は、椅子を壁際に運んだ。 それから、皆は一旦外に出た。 再び戻ってきた女性陣は、持ってきた料理を次々とテーブルに並べ始めた。 一緒に、使い捨ての食器も置かれていく。 続いて一番体格のいい男性が、ガシャガシャ音を立てながら、ビールを一ケース運びこんだ。 それから、他の男性陣が市販のカクテルや、ソフトドリンクのペットボトルを一通り運んできた。 「これで、文句無いよね?」 あっという間に立食パーティー会場へと変わった『クローバー』の店内を見渡して、和馬が咲子さんに尋ねた。 「持ち込みだと、うちの売り上げにならないんだけど」 (確かに) それは困る。 「場所代はしっかり払うよ」 雅彦が咲子さんに封筒を手渡した。 「でもねぇ…」 咲子さんは中身を確認しながら、渋い顔をした。 今日中に使いきりたい食材がいくつかあったから。 「…問題無い」 孝太が言うと 「俺達食べ盛りだから!」 男性陣が口を揃えた。 つまり、持ち込みでは足りないから作ってくれという意味だ。 「蝶子に作らせるつもり?」 前へ |次へ |
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