《MUMEI》

「わっ…」

真っ先に私の手元を覗いたのは、和馬と孝太だった。

「なるほどね、はい」


「ちょっ…」


和馬は私の携帯を瞳さんに渡した。


あっという間に、瞳さんは皆に囲まれた。


(瞳さんが持っているなら安心か…)


私は、人混みの中に入っていくのを諦めた。


テーブルの周りが空いたので、料理を取りに向かう。

「お取りしましょうか?」

「結構です」


「まぁまぁ、そう言わないで」


和馬が私の皿を取って、適当に盛り付けを始めてしまった。


「飲み物、持ってきますね」


「ちょ…」


孝太が私がテーブルに置いた空の紙コップを持って行ってしまった。


「はい」


「…どうも」


私は無表情で和馬から皿を受け取った。


「…お飲み物は?」


丁度欲しいタイミングで、孝太が紙コップを差し出した。


(…ん?)


「それ、何?」


私は紙コップの中にある真っ赤な液体について質問した。


「牛肉なら、赤でしょ」


和馬が答えた。


「ワイン…飲んだ事無い」

「じゃ、初体験て事で」


「…」


私はあまりアルコールに強く無かった。


「「さ、どうぞ」」


二人が催促した

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