《MUMEI》
*何者*
「お嬢様‥?」

「!?」

瑠果は咄嗟に逃げ出した。

「?」

紫堂が扉を開けた時、もう瑠果の姿はなかった。

(気付いてもうたんかな‥)

紫堂はゆっくりと扉を閉め、ベッドに座った。

(せやけど──オレが好きやて知ったら‥お嬢さんどないな反応するやろなぁ‥。やっぱし言うたらアカンやろか‥。まず喋り方でビックリしてもうてんからなぁ)

一方瑠果は、困惑しながら部屋に籠っていた。

(奴は本当に何者なのだ‥!?)

いくら考えても、分かるはずはない。

紫堂の声がしたのはその時だった。

「お嬢様」

「!?‥し‥ししし紫堂かッ!?」

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