貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》目覚め
目が覚めた。
「あ、起きた」
「由自……?あぁそっか…オレ、昨日倒れて……」
「お前39度くらいまで熱上がったんだぜ?マジ、オレびっくりしたんだからな。今は落ち着いてるけど、安静にしてた方がいいぜ」
「ありがとう……」
なんだか由自が優しいって変。
昨日の今日だし…。
「あ、あとお前のバイト先から電話あったから、俊は高熱で倒れて意識ありませんって言っといたから」
「重ね重ね悪いな」
「いいよ。全然」
由自が優しいとなんだか罪悪感を感じるのはなんでだ?
昨日のせいかな……。
「そうだ。昨日ウチ電話してさ、お袋にお粥の作り方聞いたんだ。食う?」
「え……?」
「初めてにしては結構うまいぜ。やっぱオレって完璧だよな〜」
「………いらない」
「なんでだよ!!オレの努力を無駄にしないでくれっ」
「…冗談だよ。頼む」
由自は嬉しそうに笑うと、台所に消えた。
上体を起こしてみる。
すごくだるい。
「あれ…?服が変わってる」
「お前の汗臭さ最強だったんだぜ?このオレが脱がしておしぼりで拭いて、着替えさせてやったんだ」
「ご、ごめん」
「久しぶりにお前の裸見たけど」
由自が妖しく笑う。
それがまた美しいから困るんだ。
「いいモン持ってんじゃん」
全身がカーッと熱くなるのを感じた。
「コイツ……」
由自がいたずらっぽく笑った。
「ハイ、口開いて」
「大丈夫。自分でできるよ」
「いいから今日くらい甘えろ」
湯気がたちのぼる。
見た目は確かにお粥だ。
由自が息を吹きかけて冷ましてからオレの口に運んでくれる。
「ヤベェ……。熱で味覚がおかしいのかな」
「ホラ、うまいだろ?」
オレは正直にうなづいた。
由自は満足そうに笑った。
「昨日はごめん。あの彼女にも悪いことしたな」
「別にいいよ。オレこそごめん。俊は頑張ってるのにあんなヒドイこと言って。俊はオレのこと心配して言ってくれてるのに…ちゃんと考えもしないで……」
「……………」
「オレさぁ……時々思うんだけど、俊ってもしかして…オレのことが好きなんじゃ」
「ゲホッゲホ!ゴホゴホッお…お前っ急に何言い出すんだよ」
「そんなに驚くってことは、図星だったりして」
――ギクッ
「あ…っ今ギクッてしたな?本当のこと言えよ〜」
由自が顔を近付けてきた。
唇が触れそうなくらい近付いてきて、オレは顔を反らす。
すると首筋に何か濡れた熱いものが触れた。
――由自の舌だ。
「や…っやめろよ!オレは病人だぞっ」
必死に由自を引きはがそうと試行錯誤をするが、熱と興奮のせいでうまく頭がまわらない。
「ど、どういうつもりだ?」
「オレ、早く言って欲しかったな」
「何を!!」
「……俊の気持ち」
「オレの!?」
「そ。オレが…好きだ、って気持ち」
由自の舌は巧みに動き、オレの耳を甘噛みした。
「ぅあっ……!」
「へぇ…耳弱いんだ」
「由自ィィィッ!!」
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