《MUMEI》

「惇、グビグビ言ってるし」



「だってめっちゃ美味い、つかプレミアムの黒美味くね?」



「だね、他はもー不味くて飲んでねーよ」





一気に飲み干してグシャッと握り潰す。
俺はふと、あまりにも体毛が薄い惇の脚を見た。




「これ縫った跡?」




「うん、幼稚園の時トイレギリギリまで我慢して慌てて走ったらずっこけてぱっくり切れた」





「…じゃこれは?」




「ハハッ、これは只のアオタンだよ!昨日転んでぶつけた跡!」




「気をつけろよー、俺のなんだからよー」




はいはいなんて軽く言いながらも躰をふわりと預けてきた。




「もう…怖くない?」





そう尋ねると惇は俺の手を取り自分の頬にピタリとつけた。



「…あったけー、
なんか、ほっとする」







――自然に顔が近づきあい唇を重ねて。








瞼を閉じる中カツンとビール缶がベッドの棚に置かれたのを感じた。

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