《MUMEI》
二次会
人数が減ったので、壁際に寄せておいた椅子を持ってきて、全員がテーブルの周りに座った。


「よ〜し!二次会開始!」

いつの間にか、俊彦が仕切っていた。


「お〜い、交代してくれよ〜!」


勇さんがふらつきながら、厨房から出てきた。


「皆、まだ何か食べる?」

祐介さんの質問に、女性陣だけが、『後でデザートほしい』と答えた。


「それくらいなら、私だけで十分よ」


咲子さんがカウンターから言った。


「だってさ」


祐介さんはニカッと笑った。


「そんな〜!」


「で、でも、おいしかったですよ」


私がフォローすると


「じゃあ、いいか」


さりげなく勇さんは私の隣を陣取った。


「そこ! 俺の指定席!」

「うるさい、お前は向こう」


俊彦は男性陣に、向かい側の列に押し込まれた。


私は、紅白漫才コンビに挟まれた。


「「そもそも、蝶子ちゃんが『こう』なったのは、お前のせいだろうが!」」


二人の言葉に、俊彦は反論できなかった。


「何の話?」


和馬が身を乗り出した。


孝太も首を傾げる。


二人は、五年前の事件を知らされていないのだ。

皆は答えようとしなかった

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