《MUMEI》

「え?」

それを先生に頼めってこと?私が?

私が複雑な顔をしたことに気付き、宏美はあわてて
「あ、ほら奏ちゃん実行委員だし。」と付け加えた。
とても良い企画だと思うけれど、先生にこれ以上お願い事をしたくなかった。

そして、私はあのお姫様キス以来、恥ずかしくて名波先生の顔が見れない。

そんな企画を思い付くこと事態、宏美も先生のことが好きなのかな・・・
そんなことを考えてしまう。

「じゃあ、奏と私と後斉藤も連れて、先生に頼んでくるよ。」

光は思ったら吉日という感じで、さっそく斉藤くんに話しかけた。
斉藤くんも二つ返事で、了解してくれて、私たちは職員室へと向かうことになった。


「失礼します。」
光は先頭をきって勢いよくドアをスライドした。

「あれ、名波先生いないね。松本先生、名波先生しらない?」
「おう。光。たまには部活に顔だせや。」

バレー部の顧問の先生なのだろう。ジャージが良く似合う、若い感じの先生に声をかけた。

「えー。今忙しい。」
「なんだ勉強でか?」

なんていう会話が二人の間で続いている。

斉藤くんと私は顔を見合わせて、職員室を出ようとした。出るときも「失礼します。」とお辞儀をしながら出るので、後ろ向きのまま一歩下がった。

柔らかいものにドンっ。とぶつかる。

振り向くと名波先生の胸の辺りが目の前にあった。

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