《MUMEI》
誕生日
「そういえばさぁ・・・お前の誕生日っていつ?」


私の部屋でゴロゴロしていると、鈴木が聞いてきた。


鈴木よ、よくぞ聞いてくれました。


「私の誕生日はなんと!!バレンタインデー☆わぁーい♪パチパチパチ」


テンション高く手なんて叩いて盛り上げた甲斐なく、


「そんなに驚くようなことでもないし・・・」


と、あっさり言われてしまった。。。


「相変わらず素っ気ないなぁ〜。へこむわ。で、鈴木はいつなの?」


そう言った途端、鈴木は待ってましたと言わんばかりの顔をして、


「俺?俺は12月!」


と、得意げに言う。


さては・・・自分の誕生日をアピールするために私の誕生日を・・・


「12月?って、あとちょっとじゃん」


そう。季節は夏から秋、そして冬に向い始める11月下旬。


「12月の何日?」


「大晦日」


「へぇ〜。珍しいね。そんな年末に生まれたんだ・・・」


「の、前の日・・・」


ま、まわりくどっ


「30日って最初っから言えばいいじゃない・・・」


「ちょっとびっくりさせようかと思って。」


たしかにビックリはしたけど・・・


「じゃぁ、年越しも兼ねてお祝いしないといけないね!」


「ちょっと楽しみが増えただろ?」


鈴木が嬉しそうに言う。


最初に聞いた私の誕生日の話もしてほしいんだけど・・・


「ま、ま、とりあえずメモしとくわ。京都で過ごす?それとも山口に帰る?」


こういう時、同郷なのが嬉しい。


「どっちでもいいよ。お前に合わす」


「わかった。じゃぁ、考えておくね」


そう言って、借りてきたDVD「シド&ナンシー」を二人で見た。

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