《MUMEI》
*指輪*
「よ、良いか紫堂、お前はあくまでも執事だ。その事を忘れるな?」

「分かっとる分かっとる。とりあえずは瑠果の執事様て事にしといたるわ」

「待て、執事に『様』は不要ではないのか?」

「まぁ堅い事言わんと──、せや、瑠果に渡したいもんがあってん」

紫堂はそう言い、小箱を取り出した。

「なんだそれは?」

「オレの愛の気持ちや」

「な、愛‥!?」

瑠果は仰天した。

紫堂に言われるがまま、開けてみる。

入っていたのは、アメシストがはめ込まれた指輪だった。

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