《MUMEI》 試ス有理「『春日有希』は今や日本芸能界のトップアイドル。テレビに毎日出てない方がおかしくて、老若男女を問わずにそのハートをつかむ天使の笑顔。人当たりが良くてやわらかい物腰。歌も演技もうまくて、飾らない性格。さわやかなイメージ。共演の女の子に激しく嫉妬心を燃やしてくれる熱狂的なファン。謎だらけの私生活……」 それから有理は長々と『春日有希』について語りつづけた。 「――これが『春日有希』だよ。」 「多いね……」 「もうすでにひとりの人間の存在になってきているからな」 ――有理はオレを試してるんだろうけど、心が決まっているオレには何てことはない。 そういうことを有理に一番わかって欲しいのに、伝わらない。 ……もう、どうしたらいいかわからない。 「流理、学校……辞めんなよ」 「え?」 「学校最近楽しいんじゃないの?」 「うん――…」 「だったら辞める必要はナシ。新しい『春日有希』をどんどん作って行って構わないからな。これからは流理が『春日有希』を育ててくんだから」 前へ |次へ |
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