《MUMEI》
*恋心*
「な‥何ゆえ指輪‥」

「瑠果」

たじろぐ瑠果の手を、紫堂は悪びれもせずに握り、言った。

「もろといてっ。な?」

「私はお前など好‥」

そこで瑠果は思いとどまる。

自分の本当の気持ちが分からない。

「‥‥‥‥‥‥‥」

「瑠果?」

「すまん‥暫く独りにさせてくれ」

紫堂の手を振りほどくようにして、瑠果は大広間から出て行った。

(まさか私が‥私が奴を‥好いているというのか‥?)

ドクン、と動悸がし、瑠果は立ち止まる。

「‥っ‥‥‥‥‥」

何故か目頭が熱かった。

(紫堂──‥)

この時になって、瑠果はようやく自分の気持ちに気付いたのである。

その後、瑠果は部屋に戻った。

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